ヒガンバナと丸墓山

わが町に国の史跡に指定されている「さきたま古墳群」がある。1平方キロより狭い地域に10個の古墳があって古墳群を形成している。その盟主は「丸墓山」と呼ばれる日本最大の「円墳」である。小説及び映画の「のぼうの城」で描かれた「忍城の水攻め」の折、石田三成が本陣を置いたと伝えられるのがこの「丸墓山」である。

高さが18mのこの古墳は、ほぼまっ平らなわが町では格好の展望台である。山頂からは、丹沢大山、丹沢連山、富士山、奥多摩から奥武蔵の連山、雁坂嶺、東西破風山、甲武信三山(木賊山・甲武信岳三宝山)から上武の山々、御荷鉾山、浅間山榛名山赤城山、袈裟丸山、皇海山、日光白根、男体山筑波山など関東地方を取り囲む山々を遠望できる。

私に根気と地図の知識が存分にあれば、木暮理太郎さん(「山の憶い出」の著者)に倣って「丸墓山から見える山」をリストアップしたいと試行しているが、何時も挫折している。

古墳へ登る参道は水攻めの際の人工の堤防跡と伝えられている。

この参道の両側にヒガンバナが植えられて、9月の10日から25日くらいの間古墳を訪ねる人の目を楽しませてくれる。有名な日高の「巾着田」のヒガンバナは総数550万本と言われており、自分の推定で総数1000本前後かと思われるわが町のヒガンバナは総数でははるかに及ばないが、開花すると深紅と純白の2種類のヒガンバナはやはり見事なものだ。

町の周辺の水田の畔では殆ど見る事が出来ず、わが町で群落と言えるのはこの「丸墓山」の参道だけである。

初めに白が開花し、1週間くらい遅れて赤が開花する。春に参道を彩るソメイヨシノの間に植えられており、一部ではソメイヨシノの根元に20〜30個位の球根の塊が露出している個所もある。

我々の眼を楽しませてくれる花々は春から初夏にかけてのものが多いが、わが町では桜以外では7月の「古代ハス」、8月中旬の「キツネノカミソリ」、9月の「ヒガンバナ」と盛夏の花が目につく。

ヒガンバナの後には、外来種の「ホテイアオイ」が水城公園の「あおいの池」で開花を始めている。